出発直前の海外安全チェック

渡航前の安全準備について

渡航前や渡航先で何かあったときのために、事前に以下の2つの事項を確認しておきましょう。

もしものための事前確認を

外務省の「海外安全ホームページ」で渡航先の治安情勢を確認しましたか?

日本人が安全で快適な海外渡航・滞在をするために必要な情報について、外務省は「海外安全ホームページ」で提供しています。
行きたい国や地域が決まっていれば、国別の最新渡航情報をこのホームページで確認しましょう。

渡航先の医療事情を確認しましたか?

日本ではほとんど心配のないような感染症(伝染病)でも海外で流行っている地域があります。特に熱帯地域ではマラリアやデング熱をはじめとした感染症にかかる危険があります。
流行中の感染症や地域特有の風土病については、事前の情報収集に努め、それぞれの特性に応じた予防接種や予防薬などの対策をとることが必要です。
外務省の「世界の医療事情」や厚生労働省検疫所のホームページで確認しておきましょう。

渡航する際の海外旅行保険に加入していますか?

旅行中にどんなに注意をしていても、犯罪などに巻き込まれないとは限りません。また、慣れない環境では病気になることも少なくありません。さまざまな損害を補償し、旅行先からの日本語での電話医療相談や各種支援サービス機能を備えた海外旅行保険への加入は、欠かせない渡航準備のひとつです。インターネットや携帯電話での加入ができる保険会社もあります。(保険に加入するときにどのような内容の補償が提供されるか、されないかを十分吟味しておくことが肝心です)

日本損害保険協会トップページ

日本損害保険協会 Q&A 海外旅行保険とは

トラブルに遭った際の手続きや連絡先はメモしてありますか?

窃盗・詐欺などの財産犯罪にあった場合は、警察への届出を行ってポリスレポートを受け取り、クレジットカードの被害についてはカード会社、航空券の購入先の旅行代理店もしくは航空会社、パスポートは日本大使館もしくは日本総領事館への連絡をしなければなりません。これらを速やかに行うために必要な連絡先を予めメモしておくことが必要です。特に、クレジットカードは犯人が使う前に一刻も早く無効にする必要があるので、メモの携帯に工夫をしましょう。

パスポートのコピーを用意しましたか?

渡航先でパスポートを紛失したり盗難にあったりすると、その国から出ることができなくなり、旅行を続けることも帰国することもできなくなります。

現地の日本大使館・総領事館で一日も早く再発行してもらわなければなりませんが、その際にパスポートのコピーを持っていると、再発行がスムーズにいくだけでなく、身元確認にも効果的です。できればパスポート用写真も数枚持っていきましょう。言うまでもありませんが、これらはスーツケースの中など、パスポートや財布・クレジットカードなどとは別の場所に保管しましょう。

多く巻き込まれている事例とその対策

突然トラブルが起こっても慌てないよう、万が一に備えて事例とその対策を確認しておきましょう。

ホテルや空港のカウンターでチェックイン手続きの際、用紙とペンが手渡されました。
あなたなら、持っているカバンやバッグをどこにおきますか?
両手がふさがり、目も書類に向けているこの瞬間は置き引きにとって格好のチャンスです。両足の間にしっかり挟み込むなどして、必ずカバンやバッグが体に触れる状態にしておき、他人が荷物に触れた感触で守るしかありません。 「まさか、ほんの数十秒の間」「人目もあるし多少やりすぎじゃないか」などと思うかもしれませんが、書類に気を取られたり、手がふさがっていたりする瞬間を犯罪者が狙っているのです。しかも犯罪者は複数で連携プレイをしているかも知れません。
ホテルの部屋から出かける時に旅券や現金はどこに保管しますか?
スーツケースの鍵は簡単に壊されるので、貴重品は絶対に部屋においてはいけません。また、身に付けて外出してもスリや強盗に遭う危険があります。ホテルのセーフティーボックスに預けるのが一番ですが、ホテルの格式如何によっては安全体制にも疑問があるような場合は身に付けた方が良い場合もあります。部屋にある金庫の鍵は絶対に部屋の鍵と一緒にフロントに預けたりしてはいけません。
旅慣れた人でも判断に迷う場面ですが、むしろ迷う方が正しいのです。100%安全な方法はありませんので、一律の方法ではなく、その場その場の状況を判断して決めるようにしましょう。
ソフトクリームを食べながら歩いてきた人があなたにぶつかってきて、服を汚されてしまいました。相手は、申し訳なさそうにハンカチを取り出して、汚れを拭き取ろうとしています。あなたはどう対処しますか?
ソフトクリームのほかケチャップやマスタード、ペンキの場合もありますが、よくあるスリの手口です。相手は拭き取る振りをして貴重品をすり取るのが目的なので、自分の体に触れさせないようにしなければなりません。
日本人の感覚では親切で拭いてくれているかも知れないと思って成り行き任せてしまいがちですが、そう思わせるのが犯罪者の作戦です。万一相手が本当に親切心からやってくれたとしても、このような場面で警戒心をあらわにすることは海外ではむしろ普通なのです。
瞬時は気分を害されますが、相手と一切関わらずに直ちにその場を立ち去るのが賢明です。
例えば、妹が近々日本に行くという気さくな現地人と知り合いになって自宅に招かられましたが、妹がたまたま外出中で手持ちぶさた。帰ってくるまでの間、トランプをやろうと誘われましたが、あなたならどうしますか?
偶然に、最初は片言の日本語で話しかけてきたり、親近感を持つような話題を出してきたり、こちらを安心させたうえでいろいろな誘いをかけてくる人物は危険です。これは東南アジアでよく見られる「いかさま賭博」の事例です。
トランプを始めてゲームに慣れた頃にいかさま賭博のやり方を教えられ、「これから金持ちが遊びに来るのでお金を巻き上げよう」と持ちかけられて最後は自分が巻き上げられてしまったというパターンです。
知り合ったばかりの人の家に遊びに行くこと自体が大変危険ですが、危ないと感じたら「ノー!」とはっきりと言うことは言うまでもありません。少し変だと思ったら、気まずくてもそれ以上関わらないようにする勇気が必要です。
仮に相手に悪意がなかったとしても、海外ではこのような場面で断るあなたより、初対面でそこまで踏み込んでくる相手の方がはるかに非常識であるということを認識しておきましょう。
現地の人々と知り合いになることは大事なことですが、先ずは学校や職場などの信頼のおける関係者の紹介による人々との交流の輪を広げるのが基本です。
市内を観光中、ヤミの両替商らしき怪しい男に付きまとわれていると、警察手帳のようなものを見せながら別の男が現れ、怪しい男を追い払いました。ところが、こちらにもヤミ両替の疑いがあると言いだし、旅券や財布の提示を求めてきました。あなたはどう対処しますか?
この場合、①「偽警官による詐欺」②「悪徳警官による詐取」③「本物の警官による取締り」の三つのケースが考えられますが、その場で事実を判断するのは困難です。
①と②は犯罪ですが、この時点において犯人はターゲットをまだ変えられる状態にあります。あなたをターゲットからはずさせるには、騙されにくい相手(ハードターゲット)であることをアピールするとともに、犯罪が露見するリスクも高いと思わせることが有効です。「身分証明書の提示を求め、メモをとること」が有効な牽制になるでしょう。
その他にも、「警察署に一緒に行きましょう」「大使館・総領事館に連絡する」などの方法が考えられます。ただし、相手が拳銃を取り出すなど、身に危険を感じたときには生命を第一に考え抵抗しないことが大切です。いずれにしても、警官が路上で財布の提示を求めるといったことは考えられないことです。
観光中には、日本の国内でもそうですが、街全体の雰囲気から「怪しげと思われる街路」等に立ち入ることのないよう嗅覚と第六感を働かせることが肝心です。
一人で市内観光中に、自分も旅行者という男性と親しくなり、一緒に市内を観光しました。かなり歩き回ったあと、ジュースを買って公園で一緒に飲み、その男性が持っていたクッキーを勧めれました。あなたはそのクッキーを食べますか。
せっかく知り合った相手を遠ざけるようなことをしたくないという気持ちからとても迷いますが、これは睡眠薬強盗の一例で、強力な睡眠薬が混ざっていて意識を失っている間に身の回りの貴重品をすべて盗まれると言う犯罪の可能性があります。中にはレストランで一緒に食事をしていてトイレに立った隙に食べ物に睡眠薬を入れると言うケースもあります。モノを盗まれるだけではなく、強力な睡眠薬で後遺症が残ってしまう事例もあります。現地で知り合った人から勧められた食べ物、飲み物は不用意に口にしないことが大切です。
この程度の警戒心を持つことは海外では常識なので、決して失礼なことではありません。
帰国する際、旅行中に現地で知り合った地元の人から、日本にいる兄弟に届けたいものがあると言われ、プレゼントのような小さな箱を手渡されました。あなたはそれを預かりますか?
せっかくの良い思い出を気まずい気持ちで締めくくりたくないので、大変迷うところでしょうが、預かってしまった以上、禁制品や麻薬だった場合に他人から預かったことを証明するのは困難であり、結果として重大な犯罪の当事者ななることがあり得るのです。
このような事件が実際に起きている以上、出国の際にモノを預からないのは国際人として常識であり、逆にあなたにモノを預けようとする人の方が非常識なのです。たとえ相手と気まずくなったとしても断らなければなりません。
いずれにしても、中身が分からないモノはどんな相手であろうと絶対に預からないということが肝心です。