海外安全マニュアル

旅行前にしておくこと

まず、渡航先の情報集種ーどんな情報が必要かー

渡航先の治安情報

海外には治安情勢が極度に悪化している理由で、渡航には適さない国や地域がたくさんあります。これらの国や地域への渡航を計画する際は、特に慎重な検討が必要です。外務省では、治安が急速に悪化したり、災害や騒乱その他の緊急事態が発生するなど、危険性が高まっていると判断された場合には、その国あるいは地域に対して、4種類の「危険情報」を発出しています。(P9~12参照)この情報を参考に、「危険な場所には近づかない」という心構えを基本に、安全な渡航計画を立てることが重要です。

犯罪手口や防犯対策

「危険情報」が発出されていない(治安の比較的安定した)国や地域でも、日本人が犯罪被害をはじめとした事件・事故に巻き込まれるケースは多くあります。スリ、置き引きなどの犯罪は、貴重品の管理の方法、手荷物の持ち方などの基本的な対応策で大半の被害を防げます。3.のケーススタディー(P14~23)に世界各国で共通する犯罪事例や防犯対策をまとめていますが、さらに各国、地域で多発する犯罪の傾向を収集しておけば、万全な対策が準備できます。

現地の法令・規則

国によって様々な規則・取締りが行われていますが、多くの国でほぼ共通していることは次のとおりです。いずれの制度も国によって特性があり、渡航前に学習しておくことが重要です。

査証(ビザ)と旅券(パスポート)の残存有効期間

渡航目的・滞在期間に適合した査証を取得することが必要です。観光目的の短期滞在など一定の目的・期間に限って査証の取得を免除している国もあります。また、国によっては、入国の際(あるいは査証取得の際)、所持している旅券に一定の残存有効期間がない場合、入国(あるいは査証の発給)が拒否されることもあります。

為替管理

外国為替の管理を厳しく実施している国があり、出入国時に持ち込む(或いは持ち出す)外貨の額を厳しく制限しています。こうした規則に違反し、出国時に所持金を没収される例も少なくありません。また、現地通貨から外貨に換金できる額に制限を設けている国もあります。

通関

ほとんどの国では、麻薬類、武器類(銃器、ナイフなど)の持ち込み、持ち出しが禁止されています。また、防疫対策のため多くの国で動物(食肉、魚などを含む)や植物の持ち込み、持ち出しを規制しています。他に、貴金属や電気製品などの持ち込みには申告が必要な国があり、正確に申告を行い、税関から渡される受領証を出国まで大切に保管する必要があります。

写真撮影の制限

多くの国では、国防上の理由から、国境施設、軍事施設、空港(空港内の税関検査場なども含む)、港湾、橋などの施設について写真撮影を禁止しております。他に、一定の公共施設や美術館など、撮影の許可が必要な国もあり注意が必要です。うっかり禁止地域を撮影して、カメラを没収されたり、警察に拘留されたケースも発生しております。

旅行制限

国によっては、外国人の入域を制限したり、旅行許可を取得しなければ旅行できない地域もあります。

交通ルール

国により交通ルールは様々で、特にレンタカーで旅行を計画する方は、渡航前にその国の交通ルールや道路標識をしっかりマスターしておくことが必要です。

風俗、習慣

宗教に関わる問題については慎重に対処することが必要です。風俗・習慣のみならず、宗教が大きな役割を占めている国は少なくありません。そのような国では、法律に宗教に関する規定を含んだものが多く、宗教を侮辱したり、宗教儀式を妨害したりするような行為は厳しく罰せられます。服装についても注意が必要な国はたくさんあります。特に宗教施設を訪問する際、過度に肌を露出する服は避け、その宗教に敬意を示す態度を心がけましょう。 宗教にかかわりないものでも、注意が必要なことがあります。例えば、「子供を駐車場の車に待たせて買い物をしていたら、幼児虐待で警察に通報された」、「人前で相手を怒ったところ、考えられないような恨みをかってしまった」など、挙げればきりがありません。従って、最も大切なことは、現地の風俗・習慣を尊重する気持ちを持ち、常に慎重な言動に努めることが肝心です。

健康、医療

海外から帰国後、コレラや赤痢など発病した日本人旅行者が新聞などで報道されることは珍しくありません。その多くは、現地では特に大流行している状況ではないのに、感染してしまったというものです。現地の人が大丈夫だから自分も大丈夫という考え方は通用しません。何らかの伝染病が少しで発生している地域に渡航する際には、予防接種が必要かという情報はもとより、現地で体調を維持するためにはどのような注意が必要かという観点で情報を集め、事前に必要な対策を講じることが必要です。また、急な傷病に素早く対処するためには、現地の医療機関に関する情報を収集しておくことも大切です。