「日本にはない自然」を体験することを目的とする海外旅行者が増えております。それに伴い、慣れない自然環境の中での病気やチョットした油断・準備不足による事故も増加傾向にあります。楽しいはずの旅行中に急病や不慮の事故に遭遇することのないよう、渡航前には次のポイントを確認しておきましょう。
・トレッキング、ブッシュ・ウォーキング、登山などで発生する事故には共通性があります。「高山病」「天候の急変などによる遭難」が最も多く、中には山賊(武装強盗集団)に襲われたケースもあります。
・地域的には、アフリカ、南西アジア、南・北アメリカの山岳地帯での疾病・事故が多く見られます。
・高山病は、高度環境への適応が不十分なために、呼吸困難、頭痛などが起こる症状で、意識障害を引き起こすこともあります。高山病は、海抜2,700メートル以上で発症するとされており、日本国内の山では滅多にかかることはありませんが、海外では、日本でハイキング気分のようなところでも、実際は海抜3,000~5,000メートルを歩いていることがありますので、知らない間に高山病になっているというケースもあります。
ビーチでの海水浴だけでなく、シュノーケリング、スキューバダイビング、ジェットスキーなどのマリン・スポーツを海外で楽しむ人が増えています。海外のリゾート地などでは、日本では未経験の人(経験の少ない人)も、これらのスポーツを気楽に楽しめる環境にあるだけに、不慮の事故に巻き込まれるケースが多く発生しています。 透明度の高い海、白く美しいビーチ、見た目は決して危険な海とは見えなくても、水面の上と下の温度差が激しかったり、引き潮が非常に強いといった危険な海はたくさんあります。また一般のビーチにサメが現れ、日本人が被害に遭ったケースもあります。
十分な事前訓練を受けていなかった日本人女性がスキューバダイビングを楽しんでいたところ、急に海中で気分が悪くなり溺れてしまった。仲間に救助され応急処置を受けたが、数時間後に死亡した。
海水浴を楽しんでいた日本人グループが遊泳区域の外まで泳いでいったところ、急に引き潮が強くなり、一名が溺れ、ライフセーバーが救助に向かったが、岸から遠かったため間に合わず、死亡してしまった。
ジェットスキーをしていた男性が、波に向かってジャンプしようとしていたところ、操作を誤り海に転落し、珊瑚礁に足を強打し足部骨折の重傷を負ってしまった。
・オセアニアやカナダなどでは、河川でのカヌーやラフティングなどで川下りを楽しむ日本人も多く見かけます。こうしたアウトドアースポーツを旅行の目玉として用意するパッケージツアー、個人旅行の人が参加できる現地でのツアーなどがあり、体験する機会が増えております。人気のコースでも、川底が浅い、流れが急、岩場が多いなど、初心者には大変難しいものもあります。
・河川の事故では、本人の過失、不注意という旅行者に責任がある場合がほとんどですが、一方でツアーを企画する側が、旅行者の能力、技量を考慮しないで安易に企画したケース、ガイドの指導が十分でなかったなど本人以外の過失に起因する場合もあります。
急流をラフティングしていた時、大きな岩にぶつかり、その衝撃で一人が川に落ちた。急流のため、救助がままならず、引き上げられた時には意識不明であったが、何とか一命は取り留めた。
海外でバンジージャンプに挑んだところ、指導員の計算ミスで足に縛っていたゴムが伸び過ぎて川に落下し、重傷を負ってしまった。
バイクや自転車で砂漠地帯や荒涼とした地域をツーリングする旅行者が多くなっていますが、日本国内とは地勢や気候風土が異なるために、日本の常識では考えられないトラブルに遭遇する恐れがあります。
こうした体験旅行を行うには、特別な準備が必要となります。例えば、2泊3日程度の沙漠ツアーでも、非常時の備えを怠ったため、車両事故により一歩間違えば死亡事故となった遭難事件も発生しております。
オセアニアの沙漠地帯をオートバイで横断していた旅行者が十分と思われる水をもって出発したものの、途中で転倒し、不足した水を探しているうちに疲労し、脱水症状で瀕死の状態のところを警察に救助された。