海外安全こぼれ話

2014.4.15
監事 大日方和雄
「それ本物? いやあ・・・」(ブランド品物語)

海外に行くと思わぬ事に出会いびっくりしたり、困惑したり、楽しみはたえない。

貴方なら「いやあ、」のあとにどんな言葉を言いますか?

ロンドン近郊の町に住むL氏は市内の事務所に電車で通勤している。L氏は機械が好きで、特に腕時計に凝っており、有名ブランド時計ローレックスやオメガ、それも最高級品を持っている。別にひけらかすつもりはないのだが、それらの時計を身につけて事務所にでている。その日もいつものようにローレックスをして仕事をし、残業をこなしてから帰路についた。ロンドンを離れるにつれ車内からは徐々に客が降りてゆき、やがてL氏が降りる駅に近づく頃にはL氏の他には数人の若者グループが乗っているのみとなった。と、そのグループが近寄ってきて、L氏の腕を見ながら「それ本物?」と聞いてきた。嫌な予感がするので相手になりたくなかったのだが、相手は複数人だし「無視するのか」と因縁をつけられるのも困る、仕方がなく「いやあ、本物さ」とつい正直に答えてしまった。すると相手は、「そいつはいいや。それ頂戴。」と言いざまローレックスをするりと外し、丁度開いたドアから仲間共々いっせいに降りて行ってしまった。

さて、この場合、L氏は「いやあ」のあとに、「にせものさ」と言うべきであったと思うのですが、時計の収集家としてのプライドがそれを許さなかったのでしょう。しかし、ここはやはりファーストビットとしては、「にせもの」だと言い張るべきでしょう。だって、相手が「にせものなら盗ってもしようがない」と思うかもしれない。

高級ブランド品については、それを使う「時」と「場所」と「目的」、つまりTPOがありましょう。日常の生活の場で使うには不向きですし、この事例のように失う危険が非常に高いことを知るべきです。

最近、我が国で若い女性がルイビトンやシャネルのバッグを通勤電車の中あるいは観光地で持っているのを見かけることがありますが、危険です。第一、そのような時間や場所においては、それらのバッグは本物に見えませんから、その持ち主のレベルまでなんとなく想像されてします。

あヽ、ブランド品が泣いている!