海外安全こぼれ話

2015.02
監事 大日方和雄
テロに備えよ

「イスラム国」なるものの残虐な殺人行為に対し、世界中が非難を浴びせ、彼らへの厳しい世論は日々高まっている。 我が国では、国・企業レベルの対策をより厳しいものにすべく、対テロ組織の整備強化が検討されている。勿論組織の強化は欠かせないものであるが、同時に海外にいてテロの対象となりやすい者(公務員、企業関係者、学者、学生)自身による防御も欠かせない。具体的には、テロリストによる集団的攻撃あるいは誘拐からの防御である。 このうち、集団的攻撃については、軍や警察などにより対抗するのが有効であるが、ここでは個人が講ずべき防御策について、小生の経験からみた留意点を記述してみたい。

1.自宅での備え ドア、窓にカギをつけるのは基本であるし、必要な状況であれば、窓に鉄製の柵をつけることも躊躇してはならない。外部に通ずるドアにはドアチェーンと2個のカギをつけ、主寝室のドアは防弾仕様とし鍵は3個つける(うち1個はカンヌキが良い、主寝室は非常時に籠城できるようにする)。なお、外来者とは、原則、ドアチェーンをかけたまま応対する。 これらのほか、独立家屋に居住している場合には、警備会社と契約して警備員を置く。さらに担当警備員と適切なコミュニケーションをとる(信頼関係を築くため)。また、防犯用に訓練された犬を飼うことも有効である。

2.通勤時の備え  通勤の時間帯や経路は特定しない(車の運転手を雇っているときには、当日の出勤時間・経路は出発の直前に伝える)。したがって、出勤時間がまちまちとなるがやむを得ない。 建物を出る前に外の様子を見る(普段見かけない人物がたむろしていないか、いつもより人出が多くないか)。 車に乗るときには速やかにドアを閉める(ドアを開けたままぐずぐずしていない、特に敷地を出て路上で乗車するような環境にある場合には重要)。乗車中は車のドアをロックし、周囲の状況に注意する(追跡されていないか)。見知らぬ車に追尾されている、あるいはおかしな車が並走しているときには、近くの警察、軍の駐屯地などに車を着け、身分を明かして状況を説明し保護を求める。 電車を利用するときには、ホームの線路寄りに立たず、中央あるいは壁際をキープする。

3.子供の通学の備え 最近のテロは子供にも及んでいるので、油断は禁物。子供を安全に通学させるのは第一義的に親の責任である。極端に言えば、校門から外側のことについては親が責任を負うと考えたほうが良い。理想的には、親が直接校門まで送り、下校時には校門で迎える、のがよいが、必ずしもすべての場合にそれが可能ではないであろうから、事情に応じた策を採用せねばならないだろう。基本は、子供の安全を確保するためには最大限の努力を惜しまない、ということに尽きる。家族の安全確保に手を抜いてはならないのである。