海外安全こぼれ話

2014.7
理事 上野 悌二
国際空港での安全対策

その国を代表する国際空港は安全なところと思いがちだが、実は油断をすると大変危険な場所の一つとなる。政情不安な国においてはテロの標的とされており、つい最近もパキスタンのカラチ空港で過激派による襲撃事件があり、武装集団を含む23人が死亡、18人が負傷する事件が起きたばかりである。 

また国際空港には上客を求めて腕自慢の窃盗団がカモを求めて到着ロビーと出発ロビーを徘徊しており、油断も隙もない。到着早々両替したばかりの現金を強奪されたり、帰国時に手荷物を置き引きされたりの被害が続出している。被害に遭わないためにはロビー内に長居しないことである。到着時は速やかに安全な交通手段で移動する。帰国時はチェックインを済ませたら速やかに搭乗ゲートに向かうことである。 

空港から移動する際の交通手段は、その国の脅威度に応じて慎重に選択する必要がある。日中でも治安の悪い国では公共の交通機関(路線バス、地下鉄など)を利用する際は注意したい。空港にたむろする客引きや白タクなどに引っかからないことは勿論である。安全な交通手段は空港専属のタクシーやリムジンバスの利用である。 

治安の悪い国では極力、夜間に到着するフライトは避けた方が良い。フライトの選択肢がなく深夜便で到着する場合は、事前に旅行社の空港送迎サービスを活用することをお勧めする。国によっては到着時の入国手続きから市内までのハイヤーを手配してくれるところもある。かなり割高になるが命には代えられないと覚悟することである。業務出張の場合は会社に必要経費として認めてもらうとよい。 

数年前、ルーマニアで起きた邦人女性殺害事件などは真に不幸な事件で、空港での安全対策を講じていれば避けられたケースであったかも知れない。海外渡航の際は必ず。MOFA外務省 海安全ホームページhttp://www.anzen.mofa.go.jp/を事前にチェックし、渡航先での日本人被害事例を確認しておきたい。